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アメリカでPRをするとはどういうことか|広告と何が違うのか

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「PRをやりたい」という相談を、北米進出を検討している日本企業から受けることがあります。しかしその「PR」が何を指しているのか、深く話を聞いてみると、人によって意味していることが大きく異なります。

「プレスリリースを出すこと」と思っている方もいれば、「メディアに取り上げてもらうこと」と思っている方もいる。あるいは「SNSで発信すること」をPRと呼ぶ方もいます。

日本でも「PR」という言葉の定義は曖昧ですが、アメリカではPRはより明確な意味と役割を持つ専門領域です。そして広告とは、目的・手段・効果の出方が根本的に異なります。

この違いを理解せずにPR活動を始めると、「プレスリリースを出したが何も起きなかった」「PRエージェンシーに費用を払ったが成果がわからなかった」という結果になりやすい。

本記事では、アメリカにおけるPRの意味・広告との違い・効果的な活用の考え方を、実務的な観点からお伝えします。

 

PRと広告、根本的な違い

PRと広告の違いを一言で表すとこうなります。

広告は、お金を払って自分のメッセージを届けることです。どこに・何を・どのように出すかをコントロールできる代わりに、受け取る側は「これは広告だ」とわかっています。

PRは、第三者(メディア・ジャーナリスト・インフルエンサー・業界関係者)が自発的に自社のことを語るように働きかけることです。直接的なコントロールはできませんが、第三者の口から語られるメッセージは、広告より信頼されやすい。

この違いを、マーケティングの世界では「Paid Media(有料メディア)」と「Earned Media(獲得メディア)」という言葉で整理します。広告はPaid Media、PRによって得られるメディア露出はEarned Mediaです。

北米の消費者・ビジネスパーソンは、広告への信頼度が高くありません。「これは広告だから、良いことしか言っていない」という認識が広く共有されています。一方、メディアの記事・ジャーナリストのレポート・業界専門家のコメントは、第三者の視点として信頼されやすい。PRが持つ最大の価値は、この「第三者の信頼性」を借りることにあります。

 

アメリカのPRが日本と異なる点

アメリカのPRには、日本のPR文化とは異なる特徴がいくつかあります。

 

メディアとの関係性が「ビジネスライク」

日本では、PR担当者とメディア・記者の間に長期的な個人的関係が重要な役割を果たします。「あの記者とは長い付き合いだから」という関係性がPR活動の基盤になることも多い。

アメリカでは、メディアとの関係はよりビジネスライクです。記者は「自分の読者にとって価値があるか」という基準で記事を書きます。どれだけ長い付き合いがあっても、ニュースバリューがなければ取り上げません。逆に言えば、関係性がなくても、本当に価値のある情報であれば取り上げてもらえる可能性があります。

 

「ニュースバリュー」の基準が明確

アメリカのジャーナリスト・メディアが求める「ニュースバリュー」の基準は、日本より明確で厳しい。「新しい製品が出ました」「会社を設立しました」という情報だけでは、ほぼ取り上げてもらえません。

アメリカのメディアが興味を持つのは、「なぜ今この話が重要なのか」「読者にとって何が変わるのか」「社会・業界にとってどんな意味があるのか」という問いに答えられるストーリーです。

 

PRエージェンシーの役割が大きい

アメリカでは、PRエージェンシーが重要な役割を担っています。メディアリレーションズ(メディアとの関係構築)・プレスリリースの作成・クライシスコミュニケーション(危機対応)・スポークスパーソントレーニング(広報担当者の育成)など、専門的なサービスを提供します。日本企業が北米でPR活動を行う場合、現地のPRエージェンシーと組むことが一般的です。

 

アメリカのPRで使われる主な手法

プレスリリース配信

プレスリリースは、PR活動の基本ツールです。ただしアメリカでのプレスリリースは、日本のそれとは書き方・配信の仕方が異なります。

アメリカのプレスリリースで重要なのは、冒頭の1〜2段落に「誰が・何を・なぜ重要か」を凝縮することです。記者は毎日大量のプレスリリースを受け取ります。最初の数行で興味を引けなければ、残りは読まれません。

配信先は、PRNewswire・BusinessWire・GlobeNewswireなどの配信サービスを通じて広く配信する方法と、ターゲットとするメディア・記者に個別にピッチ(売り込み)する方法があります。後者の方が実際に記事になる確率は高いです。

 

メディアピッチ

メディアピッチとは、特定の記者・ジャーナリストに対して「こんな記事を書いてほしい」という提案をすることです。

効果的なピッチには、3つの要素が必要です。

  1. なぜこの記者に送っているのか(その記者の過去の記事・関心領域を理解している)
  2. なぜ今この話が重要なのか(タイムリーな理由がある)
  3. 読者にとって何が価値あるのか(記者の読者目線での価値)

 

ピッチメールは簡潔であることが鉄則です。3〜5段落以内、要点を箇条書きで示し、「詳しく話したい場合は連絡してほしい」というCTAで締めるのが一般的です。

 

思想リーダーシップ(Thought Leadership)

アメリカのBtoBマーケティングにおいて特に重要なのが、Thought Leadershipです。

業界の専門家として、メディア・カンファレンス・ウェビナーで自社の知見・視点・意見を発信することにより「この分野のエキスパート」としての認知を築く戦略で、代表者・専門家が寄稿記事を書く、カンファレンスで登壇する、ポッドキャストに出演するといった活動がThought Leadershipの代表的な手法です。

広告では買えない「専門家としての信頼性」を積み上げることが、BtoBのPR活動の核心になります。

 

アワード・認定への応募

北米の業界では、様々なアワード(賞)・認定プログラムが存在します。これらへの応募・受賞は、第三者からの評価として強力な信頼証明になります。

「Inc. 5000(急成長企業ランキング)」「業界団体のBest Product賞」「地域ビジネスアワード」など、自社に関連するアワードを積極的にリサーチし、応募することは、PR活動の一部として有効です。

 

PRが効果を発揮するのはどんなとき

PRはすべての場面で広告より優れているわけではありません。効果を発揮しやすい場面と、そうでない場面があります。

 

PRが効果的な場面

  • 新市場への参入・ブランドの認知構築フェーズ
  • 専門性・信頼性を第三者に証明してもらいたいとき
  • 特定の業界・コミュニティ内での影響力を高めたいとき
  • クライシス(危機)への対応が必要なとき

 

広告の方が効果的な場面

  • 特定のターゲットに特定のメッセージを確実に届けたいとき
  • キャンペーンのタイミング・露出量をコントロールしたいとき
  • 即時的な認知拡大・トラフィック獲得が目的のとき

 

北米での効果的なマーケティングは、PRと広告を「どちらか」ではなく「どう組み合わせるか」という発想で設計することが重要です。

 

日本企業が北米でPRを始めるときの現実的なステップ

「北米でPRをやりたい」という企業が、現実的に取り組める最初のステップを整理します。

 

ステップ1|自社のストーリーを「北米メディア目線」で整理する

「何が新しいか」「なぜ今重要か」「北米の読者にとって何が価値あるか」——この3点を英語で答えられるまで、メディアへのアプローチは待った方がいい。

 

ステップ2|ターゲットメディアをリストアップする

北米のメディアは無数に存在します。業界専門誌・地域メディア・オンラインメディア・ポッドキャストなど、自社のターゲット顧客が実際に読む・聞くメディアを20〜30媒体リストアップすることから始めてください。

 

ステップ3|LinkedInでのThought Leadership発信を始める

メディア露出を狙う前に、LinkedInでの継続的な発信でコンテンツの実績を積むことが有効です。「この人は専門性がある」という認識がLinkedIn上で広まることで、メディアへのピッチの説得力が高まります。

 

ステップ4|現地のPRエージェンシーまたはフリーランスPRと組む

メディアリレーションズは、現地の人脈・文化理解・英語力なしには難しい領域です。最初の1〜2本のメディア露出を獲得するために、現地の専門家と組むことを強くおすすめします。

 

まとめ

アメリカにおけるPRの本質と広告との違いを整理しました。

  • 広告:お金を払って自分のメッセージを届ける。コントロールはできるが「広告だ」と認識される
  • PR:第三者が自発的に語るよう働きかける。コントロールは難しいが信頼性が高い

 

アメリカのPRで効果を出すには、ニュースバリューのあるストーリー・メディアへの個別ピッチ・Thought Leadership発信の組み合わせが有効です。北米でのPR活動は、広告と組み合わせながら、長期的なブランド信頼の積み上げとして設計することが重要です。

 

株式会社つむとについて

私たちつむとは、北米市場向けのPR戦略立案・プレスリリース作成・メディアアプローチ支援を含む、広告・マーケティング支援を専門とする会社です。「北米でPRをどう始めればいいかわからない」という段階からでも、ぜひご相談ください。

 

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