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「北米で売る」のではなく「北米で出会う」という考え方

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北米進出を検討している経営者と話すとき、最初に出てくる言葉はたいてい「売りたい」です。

「アメリカで自社の製品を売りたい」「北米市場でシェアを取りたい」「海外に販路を広げたい」——その気持ちは当然ですし、否定するつもりは一切ありません。ビジネスである以上、売上を上げることは目的の一つです。

ただ、私自身が長年に渡って北米の現場に立ってきた経験の中で、見えてきたことが一つあります。

それは、「売ろう」として北米に出た企業より、「出会おう」として北米に出た企業の方が、結果として長く、深く、市場に根付いているという事実です。

これは感覚論ではありません。「売る」と「出会う」では、市場へのアプローチの設計がまったく異なり、その差が時間をかけて大きな結果の違いとして現れるのです。

 

「売る」発想が生む限界

「北米で売る」という発想を起点にすると、自然と思考は次のような方向に向かいます。

どこに広告を出すか。どのチャネルで流通させるか。価格はいくらに設定するか。競合との差別化ポイントは何か——これらはすべて重要な問いです。しかしこの発想の中心には常に「自分たち」がいます。自分たちの製品を、自分たちのペースで、自分たちの都合のいい形で届ける。

しかしながら、北米市場、特にBtoBの文脈では、この「自分たち中心」のアプローチは機能しにくいと私は感じています。

なぜか?

アメリカのビジネス文化は関係性を非常に重視するからです。見知らぬ相手から突然「買ってください」と言われても、多くの場合、相手は動きません。どれだけ優れた製品でも、どれだけ魅力的な価格でも、「この人・この会社を信頼できるか」という判断が先に来ます。

「売る」発想で動く企業は、この「信頼の醸成」というプロセスを飛ばそうとする傾向があります。広告を出して認知を取り、サイトに誘導して購入させる——このファネルは、一定の商品カテゴリでは機能しますが、高単価・長期関係・専門性が求められるBtoBの文脈では、多くの場合うまくいかないのです。

 

「出会う」発想が開く可能性

一方で、「北米で出会う」という発想になると起点が変わってきます。

自分たちが何を、どう、売りたいかではなく、北米の市場・人・文化の中に、自分たちと共鳴できる何かがあるか——この問いから始まるからです。

「出会う」とは相手を理解しようとすること。北米のバイヤーが何に困っているか。現地のパートナー候補がどんな価値観を持っているか。ターゲットとする消費者がどんな文脈の中で生きているか。これらを知ろうとする姿勢が「出会う」発想から生まれる特有の問いであり、「売る」発想にはなかなか生まれないものなのです。

そしてこの「相手を理解しようとする姿勢」こそが、北米のビジネスパーソンに最も伝わるシグナルとも言えるでしょう。

「この人たちは、私たちのことを理解しようとしている」と感じた相手は、心を開きます。商談が動き始めます。紹介が生まれます。長期的な関係の土台が築かれます。「売る」という行為は、その結果として後からついてくるものです。

 

私たちが「出会い」を仕事の中心に置く理由

株式会社つむとのミッションは、「人と想いを紡ぎ、世界を創造していく」です。

この言葉の核にあるのは、「出逢い」という概念です。日々の中で、人と出会い、モノと出会い、機会と出会う。そのひとつひとつの出逢いが、新しい何かを生み出す——私たちはそう信じています。

北米進出の支援をするとき、私たちが最もエネルギーを注ぐのは「広告を出すこと」でも「資料を翻訳すること」でもありません。クライアントと北米市場の間に本物の出逢いを生み出すことです。

展示会で出会ったバイヤーとの一言が、1年後の大きな取引につながる。イベントでの登壇が、思いもよらなかったパートナーとの縁を生む。LinkedInでの発信が太平洋を越えて共鳴する誰かの目に届く——これらはすべて「売る」ために設計されたアクションからではなく、「出会い」を起点に設計されたアクションだからこそ生まれる縁ではないでしょうか。

 

「出会う」ための設計とは何か

では、「出会う」という発想を実際のビジネスアクションに落とし込むと、どうなるか。

 

発信するコンテンツが変わる

「自社の製品の良さを伝える」コンテンツから、「ターゲットが抱える課題に寄り添う」コンテンツへ。相手の言葉で相手が気にしていることを語ることで、「この人は自分のことをわかってくれている」という感覚が生まれます。

 

場の選び方が変わる

「多くの人に届く場所」から、「自分たちと共鳴できる人がいる場所」へ。大規模な広告キャンペーンよりも、特定の業界カンファレンスへの登壇や小規模なネットワーキングイベントへの参加の方が、深い出逢いを生むことがあります。

 

時間軸が変わる

「今すぐ売れるか」から「この出逢いが3年後にどんな可能性を開くか」へ。北米市場での関係構築は時間がかかります。しかし、時間をかけて築いた関係は簡単には壊れません。

 

評価指標が変わる

「広告のクリック率」「即時の問い合わせ件数」から、「信頼できるつながりの数」「関係の深さ」へ。短期の数字だけを追う経営では北米市場での長期的な成功は見えてきません。

 

「出会う」発想は、甘い話ではない

ここまで読んで、「出会いを大切にするのは理解できるが、それでは売上が立たないのでは」と感じた方、「綺麗事ばかりの理想論ではないか」と感じた方もいるかもしれません。

その懸念は正当です。「出会い」を美しい言葉として語るだけではビジネスは成立しません。私たちが言いたいのは、「売ることより出会いを優先しろ」ではありません。

「出会いの質を高めることが結果として売上の質を高める」ということです。

一度だけ売れる関係より、10年間売り続けられる関係の方がビジネスとして圧倒的に強い。北米市場での長期的な成功は深い出逢いの積み重ねの上に築かれます。「今すぐ売れるか」だけを考えた戦略は、短期には機能しても長期では脆くなります。

「出会う」という発想は決して近道ではありません。しかし、その分だけ確かな道である。我々つむとはそう考えています。

 

まとめ

「北米で売る」ではなく「北米で出会う」という考え方はアプローチの設計を根本から変えます。

相手を理解しようとする姿勢が信頼を生み、信頼が商談を生み、商談が長期的な関係を生む——この順序を信じることが北米市場で本当の意味で根付くための出発点だと、私たちは考えています。

「売りたい」という気持ちを持ちながら、「出会いたい」という姿勢で北米に向き合う。その両方を持つことが、北米進出を本物にするための条件ではないでしょうか。

この考え方に共鳴していただけた方と、ぜひ一緒に北米市場に向き合いたいと思っています。

 

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