日本企業が北米向けWebサイトを作るときに犯しがちな5つのミス
「英語版のWebサイトを作った。これで北米からの問い合わせが来るはずだ」——そう期待して数ヶ月待っても、何も起きない。こういったケースは、北米進出を試みた日本企業の間で驚くほどよく起きています。
英語サイトを作ること自体は正しい判断です。しかし「日本語サイトを英語に翻訳しただけ」「日本のWeb制作会社に英語版を依頼しただけ」という形で作られたサイトは、北米の訪問者に対してほとんど機能しないことが多い。
問題は英語力ではありません。北米の訪問者が「このサイトで欲しい情報が得られる」「この会社は信頼できる」と感じるための設計が、根本的にできていないことにあります。
本記事では、日本企業が北米向けWebサイトを作る際に陥りやすい5つのミスを、具体的に解説します。すでに英語サイトをお持ちの方も、これから作る方も、ぜひ自社サイトと照らし合わせながら読んでみてください。
ミス1|「翻訳サイト」になっている
最も多く、最も根本的なミスがこれです。
日本語で作ったサイトのコンテンツを英語に翻訳して、そのまま掲載する——これは「英語サイト」ではなく「翻訳サイト」です。この二つは似て非なるものです。
日本語のWebサイトは、日本の消費者・ビジネスパーソンの感性・価値観・購買行動に最適化されて作られています。日本では「丁寧な言葉遣い」「奥ゆかしさ」「詳細な説明」が信頼性の証として機能します。しかし北米の訪問者は、まったく異なる期待を持ってサイトを訪れます。
北米の訪問者がサイトに求めるのは、「自分の課題が解決できるかどうか、3秒で判断できること」です。
美しい言葉で会社の歴史や理念を語る冒頭の文章、細かいスペックが並ぶ製品説明、日本語的な「ご検討いただければ幸いです」という問い合わせへの誘導——これらはすべて、北米の訪問者には「自分には関係ない情報」として処理され、離脱を招きます。
対策
英語サイトは「翻訳する」のではなく「北米の訪問者のために一から書き直す」という発想で制作してください。ターゲットが抱える課題、その課題に対して自社が何をどう解決できるか、そのために今すぐ何をすればいいか——この3点を、トップページだけで完結できるかどうかが最初の基準です。
ミス2|CTA(行動喚起)が弱い、または存在しない
北米のWebサイトで最も重視されるのが、CTA(Call to Action)の設計です。
CTAとは「お問い合わせはこちら」「無料相談を申し込む」「資料をダウンロードする」など、訪問者に次の行動を促すボタン・リンク・文言のことです。
日本のWebサイトは、CTAが控えめな傾向があります。「ご興味があればお気軽にご連絡ください」という表現は、日本では丁寧さの表れですが、北米の訪問者には「積極的に来てほしいわけではないのかな」と映ることがあります。
また、CTAがページの最下部にしかない、ボタンのデザインが目立たない、「お問い合わせ」という曖昧な表現しかない——これらもよくある問題です。北米のWebサイトでは、訪問者がどのページにいても、次のアクションに迷わないようCTAが複数配置されています。
対策
トップページの最初のスクロール範囲内(ファーストビュー)に、明確なCTAボタンを配置してください。文言は「Contact Us」よりも「Get a Free Consultation(無料相談を受ける)」「See How We Can Help(どう支援できるか見てみる)」のように、訪問者にとってのベネフィットが伝わる表現が効果的です。また、各ページの中盤・末尾にも繰り返しCTAを配置することを意識してください。
ミス3|信頼性を証明するコンテンツが不足している
北米の訪問者は、日本の訪問者以上に「この会社は本当に信頼できるのか」を慎重に判断します。特に初めて名前を聞く日本企業のサイトを訪れたとき、訪問者の頭の中には「本当に実績があるのか」「連絡して大丈夫か」という疑念が生まれます。
この疑念を解消するためのコンテンツが、日本企業のサイトには圧倒的に不足しています。
疑念を解消するためのコンテンツ
クライアントの声・推薦文(Testimonials)
実際にサービスを利用したクライアントからのコメント・評価は、北米のWebサイトにおいて信頼性構築の最重要コンテンツの一つです。日本企業のサイトではほとんど見かけませんが、北米では当たり前のように掲載されています。
実績・事例(Case Studies / Portfolio)
「どんな企業と、どんなプロジェクトをやり、どんな結果を出したか」を具体的に示すケーススタディは、北米のBtoBサイトでは必須コンテンツです。守秘義務の関係で詳細を出せない場合でも、業種・規模・課題の概要・アプローチ・成果の構造で書ける形にすることが重要です。
チームメンバーの顔と経歴
「誰がやっているのか」を見せることは、北米では信頼構築に直結します。代表者・主要メンバーの顔写真・経歴・専門性を掲載することで、「この人たちなら信頼できる」という判断を助けます。特に代表者の経歴が充実していれば、それ自体が強力な信頼証明になります。
メディア掲載・受賞歴・認定(Social Proof)
メディアに取り上げられた実績、業界団体からの認定、受賞歴——これらは「第三者からの評価」として北米では非常に有効な信頼証明になります。
対策
上記のうち、今すぐ用意できるものから一つずつ追加してください。クライアントの声は1件からでも効果があります。ケーススタディは1本書くだけで、サイト全体の説得力が大きく上がります。
ミス4|モバイル対応とページ速度が不十分
北米ではスマートフォンからのWeb閲覧が非常に多く、モバイルでの表示最適化はSEOの観点でも、ユーザー体験の観点でも必須です。
日本でもモバイル対応の重要性は認識されていますが、実際に北米のユーザーのモバイル利用習慣は日本以上に徹底しています。外出先での情報収集・意思決定・問い合わせがスマートフォンで完結することを前提にサイト設計をしなければなりません。
また、ページの読み込み速度も見落とされやすいポイントです。北米のユーザーは、3秒以上かかるページから離脱する傾向が高いとされています。画像の最適化・不要なスクリプトの削除・サーバーの応答速度——これらがページ速度に影響します。
日本のサーバーにホスティングされている英語サイトは、北米からのアクセス時に読み込みが遅くなる場合があります。北米ユーザーが主なターゲットであれば、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の活用や、北米リージョンのサーバーへの移行を検討してください。
対策
GoogleのPageSpeed Insightsで自社サイトのスコアを確認してください(無料で使えます)。モバイルスコアが70未満であれば、早急な改善が必要です。また、スマートフォンで自社サイトを実際に操作してみて、「問い合わせフォームまでたどり着けるか」「読みやすいか」を体験として確認することを強くおすすめします。
ミス5|SEOが日本市場向けのままになっている
英語サイトを作ったのに、北米のGoogleで検索しても自社サイトが出てこない——これも日本企業によく起きる問題です。
原因は、SEO設計が北米の検索者を想定していないことにあります。
日本語サイトのSEOで使っていたキーワードをそのまま英語に訳しても、北米のユーザーが実際に使っている検索ワードとは異なることが多いです。北米のユーザーがどんな言葉で、どんな問いを持って検索しているかを理解したうえで、英語サイトのコンテンツ・メタ情報・ページ構造を設計する必要があります。
また、日本語サイトと英語サイトが同一ドメイン上に共存している場合、hreflangタグの設定が不適切だとGoogleが混乱し、両方のサイトの検索順位に悪影響を与えることがあります。
さらに、北米のGoogleにおけるドメインオーソリティ(サイトの信頼性評価)は、日本語サイトで積み上げた評価がそのまま引き継がれるわけではありません。英語サイトとして北米のGoogleに評価されるためには、英語圏からの被リンク獲得・英語コンテンツの継続的な追加・北米向けのGoogleビジネスプロフィールとの連携が必要です。
対策
まず、自社のターゲット顧客が北米で実際にどんなキーワードで検索しているかを調査することから始めてください。Google Keyword Plannerや、Ubersuggestなどの無料ツールで英語キーワードの検索ボリュームを確認できます。そのキーワードを軸にコンテンツを設計することで、北米Googleでの検索流入が生まれやすくなります。
5つのミスの自己チェックリスト
最後に、自社の北米向けWebサイトを点検するためのチェックリストをまとめます。
ミス1|翻訳サイトになっていないか
- トップページで「誰の・どんな課題を・どう解決するか」が3秒で伝わるか
- 日本語的な表現(奥ゆかしさ・丁寧すぎる言い回し)が残っていないか
- 英語ネイティブのレビューを受けているか
ミス2|CTAが弱くないか
- ファーストビューに明確なCTAボタンがあるか
- CTAの文言に訪問者へのベネフィットが含まれているか
- 各ページに複数のCTAが配置されているか
ミス3|信頼性を証明するコンテンツがあるか
- クライアントの声・推薦文が掲載されているか
- 実績・ケーススタディが1本以上あるか
- チームメンバーの顔写真・経歴が掲載されているか
ミス4|モバイル対応と速度は十分か
- PageSpeed InsightsのモバイルスコアがGood(90以上)または要改善(50〜89)か
- スマートフォンから問い合わせフォームまで迷わずたどり着けるか
- 北米からアクセスした際の読み込み速度に問題はないか
ミス5|SEOが北米向けに設計されているか
- 北米ユーザーが実際に使う英語キーワードで設計されているか
- hreflangタグが適切に設定されているか
- 英語コンテンツを定期的に追加する仕組みがあるか
まとめ
日本企業が北米向けWebサイトで犯しがちな5つのミスを整理しました。
- 翻訳サイトになっている ── 北米の訪問者のために一から書き直す
- CTAが弱い・存在しない ── ファーストビューから明確な行動喚起を設置する
- 信頼性を証明するコンテンツが不足 ── 推薦文・事例・顔写真を揃える
- モバイル対応とページ速度が不十分 ── PageSpeed Insightsで定期的に確認する
- SEOが日本市場向けのまま ── 北米ユーザーの検索キーワードから設計し直す
これらは一度に解決しなくてもかまいません。優先度の高いものから一つずつ改善することで、北米からの問い合わせが生まれやすいサイトに近づいていきます。
株式会社つむとについて
私たちつむとは、北米向けWebサイトの企画・制作・改善支援を含む、北米市場向けのマーケティング支援を専門とする会社です。「英語サイトはあるが機能していない」「これから北米向けサイトを作りたい」という段階からでも、ぜひご相談ください。
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